チューニングが完了したら次はアンプにつないで音を出してみましょう。エレクトリックギターの場合はアンプと一体で一つの楽器と断言できます。ギター本体だけでも音自体は出ますが聞き取りにくく自分のプレイを正確に認識できません。アンプ無しで練習しつづけると上達は望めませんので必ずアンプから音を出しましょう。このページでは良い音が出るようアンプセッティングの基本を解説します。
アンプセッティングの仕方
数多くのアンプがあるため各部に若干の違いがありますがどのメーカーの物でも共通しそうな、音を出すための基本部分で説明します。練習用の小型アンプは図のようなコンボタイプ(アンプヘッドとスピーカーが一体化したもの)がほとんどです。
それではコントロールパネルを拡大して各機能の名称と役割を見てみましょう。
各部の機能、役割
コントロールパネルの各部の名称と機能を理解しましょう。
- 1.インプットジャック
- ギターからのシールドをINPUTに差し込みます。機種によって付いている場所が違う場合もあります。必ずINPUTの文字を確認しましょう。
- 2.ゲイン
- このツマミを上げると音が歪んでロックなサウンドが得られます。機種によって2つ付いている物やGAINツマミは付いて無い物もあります。
- 3.トレブル
- 高音域の調整を行うツマミです。TREBLEのほかHIGHの表記の場合もあります。TREBLEツマミとは別にPRESENCEというツマミが付いている機種もあります。
- 4.ミドル
- 中音域を調整するツマミです。10の数値に合わせると最も中音域が出ますがMIDDLEではなくCONTOURの表記の機種は0に合わせたとき最も中音域が強く、10にすると中音域がカットされるため逆の考え方になります。
- 5.ベース
- 低音域の調整をするツマミです。LOWの表記の場合もあるかもしれません。
- 6.マスターボリューム
- 全体の音量を調節するツマミです。
- 7.ヘッドフォン出力ジャック
- ヘッドフォンで練習する場合はここに接続します。ヘッドフォンをつなぐとスピーカーからの音は出なくなります。
- 8.ライン出力用ジャック
- ほかの機材へラインでつなぐ場合に使います。ヘッドフォン出力とは違いここに接続してもスピーカーからは音が出ます。普段はチューナーをつなげておくと便利です。
- 9.電源ランプ
- 電源が入っているときに点灯します。
- 10.電源スイッチ
- 電源のON/OFF時は必ずMASTERを0にしましょう。
機種によってそれぞれのジャックやツマミの位置が違っているかと思われます。詳しくは本体の取扱説明書をよく見て確認してください。
電源ON/OFF時の注意
さっそく電源を入れて音を出してみたいでしょうが注意すべきことがあります。それは上にも書いたようにMASTERボリュームを0にしておく事です。電源が入るときにスピーカーからボンと音がでます。切るときはブチっと鳴ります。ON/OFF時にボリュームが絞られてないとこの衝撃が大きくなってスピーカーに負担がかかり場合によっては壊れてしまいます。小型アンプなら一発で壊れることは稀かと思いますが(保障は出来ません)ON/OFFを繰り返すうちに負担も蓄積されていく事でしょう。少しでも長持ちさせトラブルを防げるようMASTERを0にして電源のON/OFFを行う習慣をつけましょう。
では実際に電源を入れて音を出してみましょう。
電源を入れる時はGAINも0にしておくほうが理想です。EQUALIZER類も0にするといいかもしれませんが音作りが毎回変わってしまうので好みのサウンドが見つかったらメモしておくか小型アンプならそのままでも良いかと思います。しかし、MASTERは必ず0にしておきましょう。ギター側のボリュームは0でなくても良いですが念のため0にする場合は電源を入れた後ボリュームを上げておかないとアンプ側のボリュームを上げても音が出ないので忘れないようにしましょう。
音を出すための設定
電源が入ったら音を出してみましょう。音が出るように設定します。最初はとりあえず音を出すため歪みの無い音にしましょう。ギター側のボリュームが上がっているか確認してください。ギター側が0のままだとアンプをいくら調整しても音がでませんよ。
- GAIN 1~2
- 歪みの無いサウンドを作る場合でもGAINが0のままだとMASTERをいくら上げても音が出ない機種が多いかと思います。クリーンなサウンド作りでもGAINの目盛りを1~2あたりまで上げてください。
- TREBLE.MIDDLE.BASS 5~10(MAX)
- GAINと同じくどれか一つでも0のままだと全体の音が出ない機種もあります。イコライザー類は一旦すべてMAXまで上げてしまうか、全て真ん中にします。その後それぞれ音質を調整します。
- MASTER 機種によってお好みで
- GAINが1か2ならMASTERはかなり上げてもいいかと思いますが機種によって音量も変わってくるかと思います。近所迷惑にならないよう調節してください。MASTERは0から徐々に上げて程よい音量にすると良いでしょう。GAINもMASTERもMAXにしてしまうと小型アンプといえどもかなりの音量になるので注意しましょう。
これでとりあえず音は出るはずです。次は用途別に基本的なサウンドメイクを解説していきます。
基本的なサウンドメイク
さてアンプの使い方が分かったところで様々な音質を表現できるよう基本的なサウンドメイクの仕方を解説していきたいと思います。これもアンプの機種によってさじ加減が違ってきますので大まかなイメージでとらえてください。
ナチュラルなロックサウンド
適度な歪みのロックサウンドを作ります。
GAINを5程度にすると適度な歪みを得られます。GAINが2つある場合は片方を1でもう一方をMAXにすると適度な歪みになるでしょう。もしくはGAIN1,2どちらも5程度に合わせる方法もあります。どのパターンでも違ったトーンになるはずです。イコライザー類もそれなりに上げた状態が良いでしょう。好みで調節しましょう。
ディストーションサウンド
ロックなサウンドのなかでもかなり歪みのある激しいサウンドです。
GAINをMAX近くまで上げて大きな歪を得ます。このとき音量も上がるのでMASTERを程よい音量にしましょう。イコライザー類もけっこう上げますが機種や必要に応じて調整します。図のイコライザーの例では70’sハードロック風の音をイメージした中音域が強めのサウンドメイクです。
GAINが2つある機種の場合は片方をMAXまで上げてもう一方は5以上にすると良いでしょう。
ドンシャリサウンド
スラッシュメタルなどのさらに過激なジャンルのサウンドを作りたいときは次のようにします。
MIDDLEを0にして(音が出なくなるときは1程度まで)中音域をカットします。TREBLEとBASSはMAXにして重量感のある、メタリックないわゆるドンシャリサウンドを作ることができます。GAINは当然MAXが良いです。MIDDLEでは無くCONTOURのツマミの場合は逆になるので目盛りが10(MAX)で中音域がカットされます。
クランチサウンド
ちょい歪みのサウンドメイクです。
どちらかといえばクリーンサウンドに近いわずかな歪みを与えてやるイメージでしょうか。GAINの微妙な調節が必要になってきます。2~4あたりの間でちょっとだけ歪みはじめる所を探してください。2つGAINがある場合は片方を1あたりにしてもう一方で調節します。GAIN1,2どちらで調節するかは実際に操作して決めましょう。イコライザー類は機種にもよりますが始めのうちはTREBLE、BASSを8以上と大きく上げて固定しMIDDLEのみで調節する方法が音作りがし易いかと思いますし太い音も作れるでしょう。
クリーンサウンド
歪ませないクリアなサウンドを作ります。
GAINを下げてもクリーンサウンドを作れますが、GAINを4~5程度のクランチ~弱めのドライブサウンドと同じ程度に上げてギター側のボリュームを絞ってクリーンサウンドを作ってみましょう。ギター側のボリュームを下げているのでMASTERを大きめにしましょう。単なるクリーンよりもピッキングニュアンスの出しやすい艶やかなクリーンサウンドを作る秘訣です。クリーンなサウンドほど余計なごまかしが無く音質が出やすいものです。イコライザー類はBASSをしっかり上げて太い音になるよう心がけます。TREBLEも上げた方がはっきりした音になるかと思います。MILLDEを上げると、こもったようなサウンドや軽い音になることもあります。中音域はカットしたほうが無難かもしれません。
以上アンプの音作りの一例です。練習用アンプなどはいい音が出るセッティングがほんの僅かな範囲に限られてくる場合もあります(TREBLEが10じゃないと音がこもるなど)。このページの解説こだわらず機種ごとに良い音が出るセッティングを見つける必要もあるでしょう。今後、曲に合わせた音作りに迷う場合このページを参考に見直してもらえばよいかと思います。