このページでは弦の交換方法と張り方を解説していきます。購入したギターには弦が張ってあるかと思いますが消耗品なので既に劣化していることもありますし、切れたりしていつかは交換するときが必ず来ます。楽器店に依頼すれば交換もしてくれるでしょうが毎回余計な費用と手間がかかるのとバンド練習中に弦が切れた場合など即座に交換が求められます。弦の張り替えで困らないようしっかりマスターしましょう。(このページでご紹介するのは一般的なギターの弦交換です。ロック式フロイトローズタイプの弦交換は紹介していません。ご注意ください。)
初めての弦交換
弦交換をするには古い弦を取り外す必要がありますが、初めて弦交換に挑戦する方は交換前に弦の巻きつき方や弦が通っている場所、方向をよく確認しておきましょう。最初は古い弦を残しながら古い弦を参考に一本ずつ交換していくのも良いかと思います。
6連ペグであればペグへの巻き付き方や回転方向は同じですが両側にペグが分かれているタイプのヘッドの場合は弦のペグへの通し方が左右反転するのでよく確認しておきましょう。
ブリッジ側も弦の通り方と弦が乗っている場所をしっかりと確認しておきましょう。
ストラトキャスターなど機種によってはボディーの裏側から弦を通すギターもあります。自分のギターをよく確認してみましょう。
弦交換に必要なもの
ギター用品のページでも紹介した弦交換に必要なものを用意しておきましょう。
- 交換用新品弦
- 当然交換用の新しい弦がいります。
- ニッパー
- 古い弦や交換した弦の不要な部分を切り取ります。
- ストリングスワインダー
- 弦を巻くのにあると便利です。
- クロス、ポリッシュ
- 古い弦を取っ払ったらついでにギターを磨いておきましょう。
弦交換の手順
ギターは大きめの台の上に乗せるかギタースタンドに立てて作業するとやりやすいでしょう。くれぐれも倒したり、落としたりしないよう注意してください。
古い弦を取る
最初にペグで古い弦を緩めます。古い弦は外しやすいよう途中でニッパーなどで切ってしまってペグとブリッジ側のパーツから弦を外してください。
新しい弦を張る
では一番低い音程の6弦を例に新しい弦を張っていきましょう。
弦の終端にはボールエンドという丸いリングが取り付けられています。何も付いていないほうが先端になります。先端は鋭いのでケガをしないよう注意して下さい。
最終的に、このボールエンドがブリッジ側のパーツに引っかかる形になるよう先端を先にして穴に通していきます。弦を通し終わると先端がペグ側に来ます。
レスポールなどテールピースがある機種はまず先端をテールピースに通します。弦を通してゆくと終端のボールエンドがテールピースに引っかかります。
ストラトなど裏通しの機種の場合はボディ裏側の穴から弦の先端を先にして通してください。
ブリッジの駒にも確実に乗せてください。溝が彫ってあるブリッジ駒の場合は溝にはめ込みましょう。
弦をヘッド側に持っていき開放弦となるナットの溝にも通します。
必要な弦の長さを測る。
ペグに巻きつける準備をします。
新品の弦は様々長さのギターネックに対応できるよう余分に長くなっているため自分のギターに合わせた長さに調節する必要があります。
まずブリッジ側から巻き付けるペグの先まで弛みの無いよう弦をピンと手で軽く伸ばします。
次にペグに巻きつけるための余裕をとります。
ペグに巻き付ける回数ですが多すぎても少なすぎてもいけません。6弦の場合は最も太い巻弦(芯線の上にさらに細いワイヤーを巻き付けてある)であるため、それほど多くペグに巻き付けられませんがそれでもチューニングまで完了した時点で2回転半程は巻き付けたいところです。
最適な長さの目安は巻き付けるペグの一つ先のペグ、もしくはその中間です。しかし、それでもギターの種類によっては巻き付け回数が若干足らなくなる場合もあります。
余った場合は後から切ればいいですが、足らない場合はそうもいかないので、もう数センチ余裕を持たせ一度巻いてみるか初めは古い弦の全長を測っておくといいかもしれません。何度か弦交換をしているうちに感覚が掴めるようになるでしょう。
まだペグの穴には通さず目安の長さの位置で折り目を付けてください。
ペグの穴に通す
次にペグの穴に通しますが先に穴の向きを横向きにしておきましょう。
弦の先端からペグの穴へ、ヘッドの内側から通して先ほどの折り目まで持ってきます。
ペグ穴へは必ずヘッドの内側から通してください。
ペグの穴へはヘッドの内側から通します。これと逆で外側から通してしまうのは間違いです。大変なことになってしまうので注意しましょう。
6連ペグの場合も必ずヘッドの内側から弦を通します。
折り目までペグに差し込むとナット~ブリッジ間の弦が浮き上がります。弦が浮いてしまってブリッジやナットの溝から外れてしまっていることがあるので確認してしっかり溝にはまるようにしてください。
ストラト系でよく見られますが、ペグの穴が上部に付いているタイプがあります。このタイプの場合は穴が貫通していないためこの時点で弦を適切な長さにカットしなければいけません。必要な長さより短く切ってしまうとやり直しがきかないため注意しましょう。
写真のように弦の先端を上側から穴に差し込んで横穴タイプと同じように弦がヘッドの内側を通ってペグに巻かれるようにします。
弦を巻く
ストリングスワインダーを使って弦を巻いていきます。巻き付ける回転方向はペグの先端に向き合って左巻きです。
しっかり巻けるよう弦を指で押さえ少し巻きつかせます。
指で押さえながら巻きついた弦が順に上になるよう下へ下へと巻いていきます。上の写真のようにこれから巻く部分を指でしっかり押さえていないと巻き付きが解けてしまいますので、少々つらいですがしっかり指で押さえながら巻き付けてゆきます。ストリングスワインダーを使うと楽です。
これから巻く分が既に巻いてある部分の上にきたり滅茶苦茶な巻き方にならないよう気をつけましょう。
出来上がりの状態
こんな感じになると良いと思います。
写真はチューニングまで完了した場合です。6弦はチューニングが出来た状態で2~2.5巻きほどになるとよいでしょう。チューニング時にさらに弦が巻かれていきますので、まだチューニング前であればこれより巻き数は少なくて構いません。
チューニングは全ての弦を張り終わってから行います。巻き付きが緩まない程度にして次の弦の交換に移ります。ここできつく巻き過ぎないように注意してください。
残りの弦の交換
6弦の交換を例に見てきましたが良いサウンドを維持するためにはなるべく全ての弦を交換したいところです。
高音弦になるにつれて長さの余裕や巻き数も多少増えたりしますが残りの弦も基本的に同じやり方で出来ます。長さの違いや巻き数の違いを中心にみていきましょう。
5弦、4弦の張り方
5弦、4弦の場合は6弦と同じ巻弦なので多少弦の太さが変わるだけです。どんなタイプのヘッドでも6弦と同様の方法で出来るでしょう。6弦の場合は長さの余分は次のペグまでか、その中間でしたが5弦、4弦と進むにつれ弦が細くなっていくので6弦より長く余裕をもたせ巻く回数も少し増やしましょう。
写真は4弦を巻いた状態です。4弦なら4回転程ほど巻き付けると良いかと思います。
3~1弦の張り方
3~1弦は巻弦ではない芯線のみのプレーン弦となります。巻き付けにもゆとりができるので3弦以降は5回転以上は巻き付けたいところです。あまり巻き付けすぎるのもダメなので長さの余裕は機種にもよりますが最大で2ペグ分(2ポスト分)程が良いかと思います。
3~1弦も同じ方向にペグがある6連ペグのヘッドの場合は今までの6~4弦と同じやり方で巻きます。
ペグが両側に分かれているタイプ
両側ペグの1~3弦を張る場合、まずは弦をペグの穴に通す方向に注意しましょう。弦を通す方向が逆になりますが根本は変わりません。大切なのはヘッドの内側から弦をペグに通すことです。
これも6弦の時と同じですが間違えて外側から弦を通すと大変なことになってしまうので注意してください。
ペグを巻く回転方向に関しては6~4弦側と同じなのですが視点によっては反転した見方になる場合があるので注意しましょう。
両側ヘッドの1~3弦ペグは写真の方向から見た場合、矢印の方向へ回すと弦が巻かれていきます。
両側ヘッドのギターを構えた状態で1~3弦のペグをまわす場合はペグに対する体の位置が逆になるので右方向へ回して弦を巻くという表現になります。
表現がややこしくなってしまうので次のように考えてもらうと分かりやすいはずです。
ヘッド自体を真正面から見た場合、1~3弦、4~6弦はそれぞれ写真の矢印の方向へ回すと弦が巻かれてゆきます。ペグの回転方向はチューニングの仕方コーナーでも解説していますのでそちらも確認すると良いでしょう。
弦の交換後のチューニング
チューニングの詳しいやり方は前のページチューニングの仕方をご覧になってください。ここでは弦交換後のチューニングでの注意点と必要な事を解説します。
まずは普通どおりにチューニングしていきます。張ったばかりなので正確な音程よりかなり違った音程から合わせていくことになります。正確な音程を通り過ぎて弦を切ってしまわないように注意してください。
チューニングを6~1弦へ合わせていき再び6弦を鳴らしてみると半音から一音程度下がっているかと思います。ネックと弦の張力のバランスで再び音程が狂ってしまうためです。これは弦交換後でなくとも起こる現象ですが弦交換時は症状がより大きくなります。6~1弦のチューニングを何度か繰り返すことで安定するはずです。
一旦チューニングが出来たらさらに必要な手順があります。このままではまだ弦が馴染んでいないため弾いているとすぐにチューニングが狂ってしまいます。そこで全ての弦を上方向へ3、4回引っ張り上げてください。(あまりやり過ぎると弦がダメになってしまうので注意しましょう。)これで再びチューニングが狂ってしまいますがもう一度チューニングし直してください。
これで弦交換は完了です。弦の不要な部分は危険なので必ず切り取ってください。
切り取りはチューニング前でもかまいません。
繰り返しのチューニングと引っ張り上げて馴染ませるなどの対策を施しても交換したばかりの弦はチューニングが狂いやすいものです。こまめにチューニングを見直しましょう。
弦交換時はオクターブチューニングや弦高調節も同時に行うと良いですが、それはまた追加で解説いたします。